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ケーブ・ベアの一族 上・下
動物占いは原始人もやっていた!?
2004年9月発売
紀元前3万5千年頃のヨーロッパを舞台に、クロマニヨン人の少女とネアンデルタール人の一族の日常生活と愛情の交流を描いた超異色”原始ファンタジー”の傑作。
原作は29カ国で3千5百万部という大ベストセラー。日本でも児童書としては既に出版されていたのですが、原作に忠実な完訳版は初。
実際、これを最初何で児童書として出そうと思ったの!?と首を捻りたくなる程、硬派な大人向けの物語です。
最近注目されている「認知考古学」に基づき、「ネアンデルタール人は力が強く、咀嚼に優れた強い顎を持つ。クロマニヨンは運動能力に優れ、顎が弱いかわりに発声能力が発達。また前頭葉が発達し、現代の我々に近い知性を身に付けている。」等、進化による種族間の特徴の違いを詳細に描写。
宗教的な面では、「トーテム(守護動物神)」という、文明以前の自然民族に広く見られる宗教設定や、アイヌのイオマンテ(熊の霊送り)を髣髴とさせる終盤の熊送りの儀式等、先住民族の文化も取り入れ、太古の物語に説得力を持たせています。
身の回りに起こる出来事はおろか、女性の生理や妊娠、出産にいたるまで、すべてトーテムの導きによるとする考え方は、現代のような医学知識のない世の中を想像すると「そうとしか考えられない!」と思えるほどです。
その一方で、原始人の風俗に関する描写はかなりぶっとんでいます。ネアンデルタール人の倫理観、宗教観は我々現代人とはまったく次元が異なっており、人前で食事や呼吸と同じ感覚でところかまわずフリーS○X。子供達もそれを普通に見て覚え、同じようにフリーSE○。なんてうらやまし・・・くもないですね、余程の露出癖のある変態でない限り(^^;
また、原始コミュニティを徹底した男性上位社会として描いています。男が女を求める合図があり、女はそれを見ちゃうと拒んではいけないという掟も。これはうらやましい!(゜゜()☆○=(−"−)バキッ!
男が女を巡ってケンカすることも無く、連れ合いはすべて一族内の話し合いと了承で決められ、女性は男性に反抗することも、意見することも許されません。・・・いや〜この作者、女性なのになんでこんな設定考えたんでしょうね・・・。猿でもここまで奔放で男性優位ではありません。
18歳で結婚し、25歳までに子供を5人も立て続けに生んだ肝っ玉母ちゃん作者の意図は何処にあるのか?実は、表面的な男性上位社会描写とあわせて、男性自身は責任感と寛容さからなる強靭な精神力を備えるべき存在として描いています。種族を守るために強くあらねばならない、むやみに感情を荒立てるべきではない、「母親」が子供への愛情の為にとる行動には部族長といえども口出ししてはならない等々・・・女性の地位向上が叫ばれる一方、男性の弱体化(特に精神面)が指摘される現代において、人間が生物として本来あるべき姿を訴えたかったのかもしれません。
他にも秀逸なのは「死の呪い」の描写。種族の固い結束と統一された認識をもってすれば、人一人を一瞬で抹殺することが出来る。かつて日本を震撼させた「酒鬼薔薇事件」の犯人少年が語った「透明な存在」を思い起こさせ、哲学的ですが極めて説得力があります。
人は一人では生きていない、周りとの関係性によって生かされている。この考え方が今の社会に根本的に欠如していることが、昨今多発する凶悪犯罪の一因と言えるでしょう。
本書は「EARTH’S CHILDREN」シリーズの第1作にあたり、アメリカでは第5作まで刊行されベストセラー。現在、作者は第6作目を執筆中で、日本でも完訳版が順次出版予定。原始人版「ハリー・ポッター」ってことはないですが、遥かな古代世界を説得力あるファンタジーとして力強く描いた秀作です。
●オススメ度●
★★★ 絶対オススメ!(@^▽^@)ノ☆
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ケーブ・ベアの一族 上・下
著者:ジ−ン・M.アウル
訳者:大久保寛
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エイラ 「ケーブ・ベアの一族」 続き
友がみな、我より偉く見ゆる日よ 2003.5.X 初出
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20年前に出版された時からの、つまり児童書として翻訳されたほうを第四部まで読んでいます。今回はもう一度はじめから読み直しています。
ネアンデルタール人の説明からされていてこのように私も紹介ができればよかったと羨ましく思ったのでトラックバックさせていただきました。