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アルジャジーラ 報道の戦争
クダ・レース:カタールの伝統的スポーツ。ラクダは放っておいても全力で走るため、高度な騎乗技術は必要ないので昔は子供がジョッキーをしていた。現在はロボットがとってかわっている。
2005年8月24日発売
911テロ以降の中東戦争、日本の自衛隊派遣、民間人の人質事件などで、その存在そのものと知名度が日本でも一気に上がった感のある、謎の中東放送局アルジャジーラ。
911テロの首謀者とされ、そのあまりにも悪役キャラ立ちしすぎた風貌で一気に世界の悪役No.1に躍り出たオサマ・ビン・ラディンの声明ビデオが何故かいち早く放送されたり、イラク戦争の現場の生々しい映像がこれまた迅速に放送されることなどから、なんとな〜く「何なのあの放送局!?」「テロ組織と繋がってんじゃないの!?」と漠然と思っていたのは私だけではないのでは。
存在そのものが極めて特異な放送局アルジャジーラを、その生い立ちから、一連の報道とそれによる他国の反応や圧力、アルジャジーラの報道に対する考え方など、事細かにレポートしたドキュメンタリー。
よくよく考えてみれば、いくらなんでも衛星放送を24時間流す放送局を、テロ組織が自分達のプロパガンダの為だけに勝手に作ったり運営したりなんてできるわけがなく、その生い立ちには、我々民主主義国家に住む人間には想像もつかない、特定の大金持ち一家が一国を支配する国家社会のしくみに根ざした歴史があります。
とはいいつつ、一応アルジャジーラの経営も、普通の放送局と同じく「映像使用料」「広告料」といった収入と、運営・取材等にかかる支出で成り立っている、という当たり前の原理が働いてはいるのですが、でも創業以来何年も巨額の赤字を出し続けていても、バックにカタールの首長の大金持ちがついていて資金援助してくれるから存続できる、っていうあたりがいかにもあっちの国らしいところ。
我々が「アルジャジーラ=テロ組織」みたいな先入観を持ったもう一つの要因に、欧米諸国が「アルジャジーラの放送は各国に潜入しているテロリストへのメッセージが含まれている可能性があるから放映すべきでない」と喧伝したことがありますが、よくよく考えてみれば、電話でもメールでも通信手段がなんぼでも発達している今の世の中に、そんな不確実な方法でメッセージを送るメリットが何処にあるの!?と本書はそのばかばかしさを一蹴。
その他、CNN、FOXといったアメリカの有名放送局が、中東戦争に関し独占スクープ映像を連発するアルジャジーラに対しいかにアタフタしたか、いかにみっともなくもあさましいエゴをむき出しにしたかをつまびらかにしていきます。
あっちの国々では、「視聴率調査」なんて事実上不可能なほど、衛星放送の受信環境が野放しにされていたり、もっとも情報統制がしやすいメディアとしてインターネットもほとんど使えないようにされていたりと、取材する側としては情報入手が極めて困難なお国柄。そんな状況で、関係者へのインタビューも満載でここまで詳細なレポートを敢行した著者の行動力とジャーナリスト魂は見事。
●オススメ度●
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アルジャジーラ 報道の戦争
ヒュー・マイルズ
河野純治・訳
光文社
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