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記憶を消す子供たち
代理ミュンヒハウゼン(ほら吹き男爵)症候群:自分以外の存在を傷つけたり、病気だという妄想をいだくことによって、自分への周囲の注意をひきつけようとする。
1995年8月発売
タイトルからは想像しにくいですが、すさまじいまでの人間の”ダークサイド”に踏み込む内容です。読むにはある程度心構えが必要かもしれません。
人間の記憶というのはコンピュータのように機械的な仕組みではなく、本人のその時の意思や感情などによって左右される場合もある。
本人が子供の頃体験したことでも、大人になるまでまったく思い出しもしない、そんなことがあったことすら覚えていないことがある。
ところがそれは記憶されていないわけではなく、ただ何らかの作用によって”引き出せなく”なっているだけで、大人になってからそれがふとしたきっかけで突然甦ってくることがある。
とまあ、記憶と脳のメカニズムだけ挙げればこういうことなんですが、それが実際に起こる状況というのはいかなるものか!?子供が自分の身に起こったことの記憶を”無意識の意識”で自ら封じ込め、あったことすら思い出さなくしてしまう、ひどいときにはそれがもとで人格が乖離してしまう場合すらある状況とは・・・そう、いわゆる幼児虐待、それも性的暴行を伴う継続的な虐待。
3歳の頃から父親に繰り返し虐待され、8歳のときにたまたま一緒に遊んでいた近所の友達が自分とともに父親に誘拐され、その子が暴行された上に殴り殺されたことを、20年間思い出さず、ある日わが子の遊ぶ姿を見ているときに突然思い出した女性。
世界有数のプロダイバーとして活躍する男性が、実は幼い頃母親に繰り返し水につけられ溺死させられそうになるという虐待を受けており、しかも記憶をたどると、実は母親に性的暴行を受けていた。
ゾンビのように放心状態で深夜徘徊し、警官に暴力を振るった女性。彼女もまた、幼い頃の虐待の体験がもとで、記憶を完全にシャットダウンし人格を乖離させてしまう手段を知らず知らずのうちに身につけていた・・・
等など、身の毛もよだつすさまじい虐待の実態。何でそんなことが出来るの?同じ人間とは思えない・・・すさまじい負のパワーをひしひしと感じるエピソードの数々。
そうかと思うと、さすがは訴訟大国アメリカ、他人にわが子を虐待された!と訴訟を起こす親が、それにとどまらずわざわざわが子に、”虐待された”という”偽記憶”を刷り込むという、これまた違った意味で背筋の凍る事例も。金が絡むと人格が変わるということなのか、そもそも頭のおかしい人たちなのか・・・
そして、人間はどんな状況におかれても、自らを何とか正常に保とうとし、そのためにあらゆる自己防衛手段を講じようとする。それが記憶の封印だったり、人格の乖離だったり・・・それがまたしかし、次の世代に新たな悲劇の連鎖を有むことにもなってしまう。
にわとりが先か卵が先か、みたいな話になっちゃうのかもしれませんが・・・この、”変態の連鎖”みたいなのをどうにかして断ち切らないと、”水面下に隠れた変態”が今後益々増加する一方なのでは・・・アメリカで幼い頃に近親者に性的虐待を受けたと答える成人の比率の高さにはほんとにぞっとします。
●オススメ度●
★★☆ よろしかったらどうぞ♪(^◇^)
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記憶を消す子供たち
レノア・テア
吉田利子:訳
草思社
著者の作品
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