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喧嘩両成敗の誕生
掠奪刑:犯罪者に対し、その隣人が犯人の財産を何なりと奪い去ることを許すという刑罰。罪人を「法外人(outlaw)」とし、法による一切の保護の外に置くという考え方で、同様の事例は中世ヨーロッパの「アハト刑」なども知られている。
2006年2月発売
これほど分かりやすく、かつ斬新に、日本人の心性を分析した書はかつてなかった!?出色の日本人論。
「喧嘩両成敗」といえば、思い浮かべるのは時代劇、「良いお代官様」による裁きの構図。「その方ら、喧嘩両成敗に処す!」ってそこまでストレートな台詞は無いにせよ、何となく時代劇の定番みたいなイメージ。
最近では政治の世界でも、あの議員とあの議員がいがみあい、結局その処分は「喧嘩両成敗」で決着、などと使われることもしばしば。
ことほど左様に日本人にはなじみ深いこの言葉と考え方、しかしよく考えてみれば、近年の法治国家・日本は、喧嘩=揉め事があった場合は裁判に委ねられ、双方の言い分や証拠を検証した挙句、どっちが良い悪いを明確に決める、つまり喧嘩両成敗とは対極の世の中。
ことが国家間にまで及べばなお更、外交交渉の段階で双方の意見を歩み寄らせて和解に落ち着ければ御の字、その延長上にある戦争=喧嘩になれば、あるのは勝者と敗者のみ、形式的とはいえ第三者による戦後処理があった近年の戦争においても、両成敗なんてことはありえなかったのも周知のとおり。
やはり日本人独特の古き良き思想文化ともいうべきものらしいこの考え方の起源はどこにあるのか?何故、どういう背景でこの考え方が生まれてきたのか?
室町時代大好きな著者が、その深い知識と考察でその謎を明確に論説。
根底にあるのは、「和を持って尊びとなす」日本人の美徳でもあり、近年は時に欠点ともなっているこの考え方。
同時に、あくまで超法規措置である「喧嘩両成敗」を、先人も決して好き好んで乱用していたわけではない。
日本人の、隣人との接し方に関する絶妙のバランス感覚を解き明かすその文節は、まさに温故知新、ともすれば自己嫌悪に陥りがちな日本の自信回復の一助となりうる良著といえそう。
それにしても、「笑われただけでキレて子供を斬った」「相手が先に馬から降りただけでキレて斬った」など等、それだけ見れば中世日本はどんな殺伐とした世の中だったのか!?と思うようなエピソードも多数。
一部の特殊な事例をことさら取り上げ、「日本はこのままではおかしくなる」「この国はどこへ向かっていくのか」などと憂いてみせるマスコミや知識人のバカさ加減も再認識。
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喧嘩両成敗の誕生
清水克行
講談社選書メチエ
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